「カラスの親父はさ、昔ラドニアで働いてたんだ。」


「え?!」

リディアは思わずユウリの顔を見る。


「優秀なエンジニアだった。

自動車が専門だったけど、航空機の開発も手がけてた。

俺もガキの頃、あいつの親父の工場へ遊びに行った事があるんだぜ。

王室の奴らも来ていた。 あいつら、技術開発とかそういう事には口を出しやがる・・・。」


「・・・それで、何故、今はロトスに?」


「事故があったんだ。

俺も当時はガキだったから、詳しい事は知らないけどよ。

ただ、開発中の航空機の燃料が暴発したらしいって噂は聞いた事がある。」


「燃料が・・・暴発・・・。」

リディアの胸の奥がまた、ざわざわと音を立て始める。


「その事故で、カラスとこいつの親父は、死んだんだ。」