「リディアさーん、こっちこっちー!」


カラスの家の裏手には一面のキャベツ畑が広がっていた。

その向こうに、小さな小屋のようなモノが建っている。

カラスは、スカイブルーのペンキが塗られたその小屋の前で大きく手を振っている。



「アイツ…。

えっらい張り切りようだな。

分かり易いヤツ。」

ユウリは呆れた声を出した。


「そうそう!

兄貴ったら、ここの所リディアさんの話ばっかりよ。

もううるさいったら!!」


「そう言うお前も、その手を離せ。」

ココの腕は、ユウリの腕にしっかりと絡まっている。


「え~!だってユウリ、久しぶりじゃ~ん!!」


「暑いだろ。

今、夏だから。」


「え~! ぶぅ~!!」

ほっぺたを思い切り膨らめるココの顔を見て、リディアは思わず噴出した。


長い黒髪がさわさわと揺れる。