「ピッツアはリディアさんのお口に合うかしらねぇ?」

テーブル越しに、カラスの母は心配そうにリディアの様子を伺う。


「こんなに美味しいものをいただいたのは、始めてです!」

リディアは、直系50cm程もある巨大なピッツアを頬張りながら、答えた。

オークで出来た分厚い一枚板のテーブルの上には、青々としたバジルに真っ赤なトマト、そしてモッツアレーラチーズがふんだんに盛られたピッツアが所狭しと置かれている。

辺りには、焼けた小麦生地の香ばしい匂いが漂う。


「遠慮しないで、どんどん食べて頂戴ね!

リディアさんも、もうちょこっと太んなきゃ。 ねぇ?」

カラスの母は次のピッツアを取り分ける。


「あ、はい!」

リディアはまだ少し赤い目を細めて嬉しそうに微笑む。


「お袋! リディアさん太らせてどーすんだよ!

リディアさんは、これでいいの。

これがいいの!!

色白で、華奢で、儚げで・・・そして、その蕾のように小さな口元から花びらのように可憐な微笑みが零れて・・・」



――ゴツッ!!