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「香澄は作らなくていいから、客寄せ頼む」
心臓に悪い一臣君との屋台巡りが終わり、武君と合流したあたし達。
一臣君が言ってた『助けて』の意味が分かった。
どうやら武君の家のお手伝いをすればいいらしい。
目の前で腕捲りする一臣君にときめいていると、武君が何故かこっそりと謝ってくれる。
「ごめんな?一時間だけ一臣貸して。あいついると売り上げ上がるんだ」
「え?ううん?」
謝ってくれる必要は無いんだけどなぁ。
だって、武君が一臣君にメールしてくれてなかったら、きっと一臣君に助けてって言ってもらえなかったし、お祭りにも一緒に来れなかった。
むしろお礼を言うべきだと思う。
「ありが「デートの邪魔してゴメン」」
「で、デート!?」
思わず大きな声を出しちゃって、恥ずかしくなって、俯きながら違う、と武君に言おうとしたら、
「武、香澄をからかうなよ」
と何故か一臣君が不機嫌な声。
「一臣だってしてるだろ」
「俺はいいんだよ。ってか何の為に香澄に助けてって言ったと思ってんだよ」
武と話してたら客寄せ出来ないだろ、
そう言った一臣君にさらに恥ずかしくなる。
屋台巡りしてなくても、やっぱり心臓に悪い。
「俺はいいんだよ、って一臣…」
「働けよ、武」
「………」