到着メロディーを聞きながら電車を下りる。

特に大きくもない駅には、それほど人はいない。


改札を出てその理由が分かった。


駅ビルもないし、特に目立った建物もない。

あるのは小さな交番と、ファーストフード店。

それにいつくかの定食屋さんに駐輪場。

ガランとしている駅前は、とても静かで落ち着いた空気が流れていた。


寮を出た時からやけに静かな先生が気になって、隣にいる先生を見上げる。

先生は駅前のロータリーにある小さな噴水をぼんやりと眺めていて……。


でも、その視線はどこか遠くを見ているみたいだった。


なんとなく声をかけられないでいると、先生がゆっくりとあたしに視線を落とした。

そしてしばらく見つめた後、目を細めて笑う。


「似合ってんな、それ」


先生が言ったのは、キャップ。