「ねぇ、華。知ってる?」

「ん?何を??」


わたし木立 華(こだち・はな)。

ふっつうの中学生。



「楠田 袮緒(くすだ・ねお)って人! いつもヘッドフォンつけてる」


友達のナツメは、一生懸命そのネオって子の説明をしている。


……ネオなんて、聞いたことないけどなぁ。



「ごめん、わかんないな」


私は首を少し傾けてナツメに謝った。

これは私のお気に入りのポーズ。


だって、こうすれば大抵の人は、なんだって許してくれるから。



「なに、その子と仲良くなりたいんだ。ナツメは」

「え、違うよ〜!」


ニヤつきながら、私はナツメをひじでつつく。


彼女はと言えば、両手をブンブン振りながら否定してるけど。

……逆に怪しいって。



「で? いきなり何なの、その…、ネオちゃんだっけ?」


私の発言に目を見開くナツメ。

何かに驚いているような表情で、完全にフリーズ。



「……ネオちゃん、って言った? 華」

「えっ、ごめん、違った?」


固まっていたナツメは、今度は激しく眉間にシワを作りながら、私に問う。


聞いた通りの名前を挙げたと思ったんだけどな…。

違ったっけ?



「いや、袮緒って男子、だから」