「来年には受験なんだぞ? 女の子と遊んでいる暇なんかあるのか」


低く、体に響くような親父の声。


俺はパンを牛乳で流し込み、チラリと自分の父親を見た。


父親は、昔からこうだ。


特別古臭い人間ではないのに、勉強の事となると口うるさく、頑固になる。


その性格のため、俺は何度も自分のやりたいことを我慢してきた。


けど、今回だけは譲れない。


唯だけは、誰にも譲るつもりはなかった。