「そんな事ないよ。俺が風呂から戻ったときにもう寝てたんだから」


答えながら、差し出されたパンにかじりつく。


すると、ジッと新聞を読んでいた父親が、スッと顔を上げて俺を見てきた。


眉と眉の間に深く刻まれた、シワ。


これは怒っているからできているシワではなくて、父親がいかに生きてきたかという証みたいなものだった。