『‥雪梛?
どうかした?』
琉輝星の声で我に帰る。
『え、あ‥ううん‥。
なんでもないの。』
‥同じ苗字なんていっぱい居るよね‥‥。
私の考えすぎだ‥。
ピンポーン
インターホンの音に過剰に反応する雪梛。
ビクッと飛び跳ねた雪梛を見て琉輝星は俺が出る、と言って玄関に向かった。
『せーなーちー!
せーあだよー!』
その声を聞いた琉輝星が一言。
『‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥居留守していい?』
雪梛の家に来たのは琉輝星の妹の星愛(せいあ)だった。
『星愛ちゃんどうしたの?』
『どうしたもこうしたもないよ!
るき兄から連絡きてさー
事情聞いたらじっとしてられなくて‥
そんで、せーあ来ちゃった☆』
『来ちゃった☆じゃねーよ!
お前明日も学校あんだろ!
さっさと帰れ!』
星愛の話しを聞いて苛々しながら怒鳴る琉輝星。
『まあまあ‥
星愛ちゃんも心配してくれたんだよね?』
『だってさー、せなちに何かあったら嫌だもん』
頬を膨らましながら言う星愛に雪梛は思わず笑った。
『とかなんとか言いながらお前は雪梛に会いたいだけだろ!』
『だって最近会ってなかったもん!
寂しかったのに〜』
雪梛は星愛の方を見て一気に青ざめた。
『‥どうしたの‥?
‥せなち‥‥‥』
『‥‥‥あ‥‥‥‥れ‥‥』
雪梛の指差した先には窓があった。
カーテンの隙間からは
男が中を覗いていた。
あぁ‥雪梛‥‥
なんて綺麗なんだ‥。
早く君を僕のものにしたい。
‥‥‥桜ちゃんと男が帰った。
まあ‥雪梛と僕が付き合うのも時間の問題だし、付き合ったらあの二人とも仲良くしないとな。
それよりも
早く帰れよ!
そこの男!
‥‥雪梛は‥‥‥‥‥僕のものだぞ!
雪梛‥なんで‥‥‥‥
なんでその男にキスをする!
なんで抱き着く!
なんで‥‥‥
なんで二人の体が絡み合う‥‥‥!
殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
あの男を‥殺したい!!!!!!!!
百合子の時もそうだった!!!!!!!!
男を殺せばよかったんだ!!!!!!
僕に発煙筒を投げつけて‥!
何度も邪魔しやがって!!!!!!!!
あげくの果てには百合子を連れて引っ越しやがった!!!!!!!
ちくしょう!!!!!!!!!!!!!
今回は絶対‥‥絶対‥!
男 を 殺 し て や る
雪梛も‥こっちを見てよ‥‥
僕は‥‥君の愛してる僕は‥
ここにいるのに‥!
むしゃくしゃする‥‥‥‥
―ガサッ
『にゃ〜ん』
‥なんだ‥猫か‥‥‥
少しここから離れよう。
警察が来たらやかましいからな。
ちくしょう‥‥‥
あの茶髪の野郎め!
イライラする‥!
殺したい‥
僕を裏切った雪梛を‥
あの男を‥!
絶対に殺してやる!
いや‥落ち着け。
雪梛は殺しちゃだめだ。
ふとコンビニの駐車場を見ると桜ちゃんの彼氏の車が止まってる。
なにをしてるんだ?
僕はトコトコ車に近づいていく。
桜ちゃんが泣いてる?
泣いて化粧が落ちていってる‥
‥‥‥ん?
桜ちゃんが‥‥‥
百合子に似ている。