『?!』

2年半前に玄関の前に立っていた男が今、百合子の前に居た。

百合子は扉を両手で閉めようとする。

―ガッ

男はそれを阻止した。

『‥っ!』

百合子は扉を逆に力いっぱい押し開けた。

男は後ろに派手にこける。

百合子はリビングまで走って行き桜を抱きかかえる。

階段を上がり一つの部屋に入る。

クローゼットの扉を開けその中に桜を入れた。

『いい?
桜‥ままがいいって言うまで出てきちゃだめよ!
静かにしてなさいね!』

そう言って桜が何か喋る間もなく上から毛布やぬいぐるみ等をかけた。

ドタドタと階段を上がって来る音がした瞬間、百合子はクローゼットの扉を閉めた。