「特別仕様だぜ」

 その男はニヤリと笑って車を親指で差した。

「よろしく頼む」

「おう!」

 キーを渡すと、金色短髪の男はピックアップトラックに向かう。

 鼻歌交じりにキーを振る背中にベリルは小さく笑んだ。

「どうするの?」

「私の車で走ってもらう」

 時間稼ぎにはなる……そう言って新しい車のドアを開いた。

 少年は促されるまま助手席に体を滑り込ませたが、さすがスポーツカーだけに中は狭くて目線はとても低い。

 今までピックアップトラックに乗っていたせいか、とても窮屈に感じられた。

 ベリルも乗り込み、スポーツカーはゆっくり発進する。

 トラックのドアにもたれかかって軽く手を揚げしばしの別れを告げる男に、ベリルも同じく手で応えた。