一向に影から出てこない男に近付く。彼の態度と口調……怪我をしている。

「!」

 腹部に撃たれたであろう血の跡、いや……まだ血は流れている。

 しゃがみ込んだ青年に、男はグイと何かを押しつけた。

「……」

 どうやら子どものようだ。

「こっこの子を、頼……む」

「何?」

 少し驚いたが、それよりも男の容態が気になり、子どもに一瞥する事もなく腹部に視線を向けた。