「あのっ運ばれてきた高木紗絵の親族のものですが・・。」

「少々お待ちください。」






受付の人にそう言われ、焦る気持ちを抑える。






「308号室になりますので、3階のナースステーションに行ってください。」

「ありがとうございます。」






病院で走ってはいけないというのが常識。




でも、今の俺にはそんな常識鬱陶しいだけだった。




もうほとんど走っているような早歩きで俺はナースステーションへと向かう。






「すいません、高木紗絵の親族のものですが・・・。」

「ああっ!高木さんですね。先ほどお電話させていただいた田中です。旦那さまでよろしいですか?」

「はい。あのっ、紗絵は?」

「ここを真っ直ぐ行ったつきあたりを左の個室の病室にいますので。後ほど医師とお話をしに伺いますので側についていてあげてください。」