そんな不謹慎なこと考えちゃうほど、助けてくれた人はイケメンだ。
服の上からでもわかる、引きしまった体、整った顔立ち。
こんなにカッコイイ人、テレビの中で観れるだけかと思ってた。
そうこうするうちに電車は次の駅に滑り込み、
「一緒に降りてもらうよ。君もおいで」
その人は言って、電車を降りた。
もちろんおじさんの右手首はその人にしっかりつかまれたまま。
あわてて追いかけようとしたけど、降りる人が少ない停車駅だから、
体の小さいあたしにとって、人の間をぬって降りることは一苦労だった。
先に難なく降りたあの人がうらやましいよ。
あの人ほどとまでいかなくても、せめて、もう10センチは背が欲しい。
何てったってあたしは148センチしかないから。
満員電車に乗ると、完全に人に埋もれてしまう。
ようやく追いつくと、あの人はすでに駅員と話をしていた。