「ダメだ。手伝ってもらったら罰にならないだろうが。高村ひとりで教官室に来い」
あたしは憂鬱な気持ちのまま、6時間目を迎えた。
よりによって、体育の授業だ。
放課後のことを考えるだけでも気が重いのに、その前にも佐野先生と顔を合わせないといけない。
チャイムが鳴り、佐野先生が体育館に入ってきて、授業が開始された。
授業はバスケで、あゆみちゃんとペアを組んで、パスの練習をする。
「きゃっ」
バスケットボールを頭で受けてしまい、声を上げた。
「千沙ちゃん、ちゃんと集中しないと危ないよ?」
「ごめんね」とボールを返すけど、さっきからパスをつなげずにいた。
佐野先生のことを意識しすぎ?
何だか視線を感じる気がする。
「高村って、かなりの運動音痴なんだな」