「先生へのチョコなんて言ってないのに」


運転している佐野先生を軽くにらむようにして言った。



佐野先生に車で家まで送ってもらう途中だ。



あのチョコはもう渡さないつもりだったのに、まさか先生の元へ届いていたなんて…。



「とか言いながら、どうせ俺へのチョコだろ?」


違うと言ってしまいたかったけど、当たってるから何も言えなかった。



それにしても、どうしてチョコが開いちゃっていたのか気にならないのかな?


思いがけず先生に届いてうれしいけど。




そうこうするうちに、車は家の前で止まった。



お礼を言いながら車から降りようとしたが、なぜか佐野先生の手にはばまれてしまう。


「…佐野先生?」