「屋上で薄着で寝ていただろう?」
言われて、思い出した。
起きた時の温もりに対する違和感。
それは寒い場所にいたからだ。
あたしは木枯らし吹く中、屋上にいた。
確かに怒られるのも仕方ないかもしれない。
いくらブレザーを着ているとはいえ、コートをはおって登下校しているから、
中にあまり着込んでいなかった。
それにしても、どうしてこんなとこに――。
そこまで考えてやっと気づいた。
ここがどこだって言ってた!?
さっき、「俺の家」って言われたよね!?
てことは、ここは佐野先生の家!?
グルグル考えていると、あたしは無性に逃げたい衝動にかられた。
「すみません、あたし帰…」
帰りますと言いながら起き上がろうとしたけど、
佐野先生に両肩を押さえつけられて、動けなかった。