え?


驚きで動かない体で、何とか瞳だけ動かしてドアをよく見てみると、少しだけ開いていた。



あたしは震える手に力を入れて、音を立てないようにドアをもう少し開けた。



出来たすき間から中をのぞくと、樋渡さんが佐野先生に抱きついていた。



血液が逆流しそうな感覚とはこういうことを言うのだろうか。


血が、心が、あたしの感覚のすべてがうるさく騒いでいる。



今日は樋渡さんが佐野先生にチョコを渡して告白する日だとわかっていたはずなのに。


本当は何もわかっていなかったんだ。



佐野先生はどんな答えを出すのだろうか…?



前々から樋渡さんと何かありそうだった。


やっぱり、クリスマスのあの日に心が通じ合ったなんて、幻想だったのかな?


もう先生は樋渡さんのモノ?