時間もある。


大丈夫。



自分に言いきかせて、体育教官室を目指した。



ただひとつの不安は教官室に先生がひとりもいないなんてありえるのかなぁってこと。



佐野先生はいなくても、他の先生がいそうな気がする。


皆、職員室にいてくれてたらいいんだけど。



職員室はダメ。


佐野先生はいないだろうけど、他の先生はたくさんいて目立ってしまう。


樋渡さんにばれるわけにはいかないんだから。





そんな考えごとをしている間に、あたしは教官室に着いた。



ドアの前に立ったまま、あたしは自分の心を落ち着かせた。



ドキドキする。


落ち着け、あたし。



誰もいませんようにと祈りながら、ようやくノックしようとした時、

「佐野先生…」という小さな声が耳に届いた。