街はすっかりバレンタイン一色で彩られていた。
バレンタインチョコの売り場を通る度に、あたしの心はズキズキと痛む。
もうすぐ、バレンタインデーがやってくる。
「あ~どれにしよう!? 迷うよ~」
バレンタインも目前に迫ったある日、よりによって一番行きたくない場所に来ていた。
そう、ここはチョコ売り場。
右を向いても、左を向いても、チョコチョコチョコ。
その大方がラッピングされた状態で飾られているんだけど、
それでも甘い匂いがただよってきそうなほどだ。
「ねぇ、千沙ちゃん。どれがいいと思う?」
「どれがって言われても…う~ん」
本当にたくさんのチョコがあるから、迷ってしまう。
「慶太くんってどんなチョコが好きなの?」