「だけど、俺はそれを認めたくなくて、なんとかその想いを壊そうとしてた。
佐野先生なんて嫌いになってしまえばいいのにって」
「あ…」
あたしは何を言ったらいいかわからなかった。
つまりは、あたしが佐野先生を好きって、知ってるってことで?
「なぁ。俺ははっきりフラれないと、高村のことをあきらめれそうにないんだ。
だから、はっきり言ってくれないか…?」
あたしは大きく瞳を見開いたまま動けなかった。
時が止まったのではと、錯覚しそうなほど長く、静寂があたし達を包む。
そんな中、ようやくしぼり出した言葉で、空気が動いた。
「あ…あたしは――」