どこをどう走ったのかわからない。
街灯ひとつない真っ暗な道で足を止めた。
ちょっと怖い。
変質者がいないかという恐怖。
暗いという恐怖。
ここがどこだかわからない恐怖。
いろんな恐怖が押し寄せてきて、足元には地面がないのではと思い込みそうになる。
泣きそうになるのを必死でこらえて、とにかく歩こうと思った。
ここは知らない場所だけど、学校からそう離れてはいないはず。
歩いていれば、いずれ知ってる道に出るかもしれない。
そう考えて一歩踏み出そうとした時、肩をたたかれて、悲鳴を上げそうになった。
それに気づいた相手がすばやくあたしの口を押さえた。
悲鳴で辺りの住宅街を騒がすことはなかったけど、
あたしは何が起こったかわからず、パニックを起こしかけていた。
「痛ッ…」