先生の気づかいがうれしかった。
お腹が空いてたから、さっそくハンバーガーにかぶりつく。
すぐに車はあたしの家の前で止まったから、あわてて全部食べて、降りようとした。
「それじゃあ、今日はありがと――」
「待てよ」
ガチャッと扉を開けて腰を浮かしかけた瞬間、強く右手首をつかまれた。
恥ずかしがってたことも忘れて、佐野先生の顔を見た。
佐野先生は、とても辛そうな顔をしていた。
「佐野先生…?」
「どうして、おまえは平気なんだ? もう二度とこんな風には会えないかもしれないのに」
言われて、あたしはハッとした。
あたし達は先生と生徒。
付き合ったり、デートしたりできない関係だ。
こんな日はもう来ないかもしれない。