あたしは壊れたブレーキをうらめしく思いながらも、ただ受け入れるしかでできなかった。
やがて、唇は開放されたけど、佐野先生の唇はまだあたしの肌をはっていた。
「…佐野先生?」
荒くなった息を整えながら、たずねた。
一体、何をしてるんだろう。
それに答える声はなく、代わりに狙いを定めたように首筋に強く吸いついてきた。
佐野先生の髪があたしのほおをくすぐり、顔をしかめていると、
チクリと痛みが走り、先生が離れた。
自分で見ることはできないけど、見なくてもわかっていた。
きっと首筋には、文化祭のときに胸もとにつけられたのと同じ証がついているはず。
あたしが先生のモノだという証が。
付き合ったりはできないけど、確かにあたし達の想いが通じた証が。
あたしの首筋に赤く色づいている。