佐野先生の瞳を見ながら伝え切る勇気がなくて、ぎゅっと目をつぶりながらまくし立てた。
すると、突然、何かに引っ張られるように体が傾き、あたしは驚いて瞳を開けると、
目の前には佐野先生の胸があった。
「さ、佐野先生…!?」
「一目惚れじゃダメなわけ?」
「へ?」
「理由がないとダメなわけ?」
「ダ…ダメってわけじゃないけど」
どうしよう。
ドキドキが止まらない。
佐野先生にも伝わってしまいそうだよ。
「初めて会った時からおまえのことが忘れられなくて、高校の入学式で見かけた時は夢かと思った。
ガラにもなく、運命かもなんて乙女チックなことを考えてしまったんだ」
「え?」
体を少し動かして、上を向いた。
その瞬間、交わる真剣な眼差し。