だけど、無視するわけにもいかなくて、返事をする。
「……はい」
「…マジで?」
佐野先生は驚いた顔したかと思ったら、すぐに呆れた顔になった。
「おまえさぁ、隙が多過ぎるんじゃないか? 普通こんな短期間に何度もあわないだろ」
それは自分自身何度も思ったこと。
でも、何だか先生に言われるのは悔しい。
「そんなことありません。ただ、あたしって背低いから、満員電車に乗ると埋もれてしまうので」
あたしは先生をにらむように言ったつもりだ。
でも先生の方が背が高いから、座っていても目線が上向きになる。
こういうところも悔しい。
背が低いせいで、にらみを効かせてもあたしの首が痛くなるだけって感じがして、
負けてる気分になってしまう。
先生は顔を右手で隠しながら、さらに顔を背けた。