“ひとり”でということが意外だった。


勉強嫌いなあたしだったら、絶対にひとりでは、はかどらないし、わざわざ残ろうなんて思わない。



「最初はクラスのヤツらに勉強教えてくれって言われて教えてたんだけどな。皆もう帰ったんだ」


「教えて…って、もしかして委員長って頭いい?」



思わず身を乗り出して、座っている委員長の目線に自分の目線を合わせて言ったものだから、

委員長は少し驚いたようだった。



「あ、ああ…、おまえよりは確実に」



さも当然とばかりに言うものだから、あたしはほおをふくらませた。


「どうせあたしはおバカですよ。ねぇ、おバカなあたしに勉強教えてくれないかな?」



佐野先生に教えてもらうのは無理そうだし、

かと言って誰かに教わらないとテストが限りなくヤバイ。



委員長は、委員長なんて任せられてるぐらいだから。


皆に勉強教えれるぐらいだから。


きっと本当にあたしとは比べものにならないくらい賢いのだろう。