佐野先生もそこをわざわざ訂正する気はないみたい。



「樋渡は俺が教えなくても学年トップだろ。ごほうびは成績アップのごほうびだからな、ダメ」


「学年トップ!?」



聞き慣れない単語にびっくりして、大きな声で聞き返した。



「樋渡は去年はずっと学年トップだったんだ」


「すごっ…」



あたしからしたら、学年トップなんて夢のまた夢だ。


樋渡さんって本当に何でも完璧な人なんだ。



「だから、樋渡はごほうびなんて、なし」


「はぁ~い。でも、勉強は教えて下さいね」



こうして、三人の奇妙な勉強会が始まったんだ。