「そうだなぁ、もし俺のおかげでいい点数取れたら、俺にごほうびちょうだい?」
にっこり笑う佐野先生に嫌な予感を覚えた。
「…ご、ごほうび?」
あたしがもらうんじゃなくて、あげるの?
「そ。俺、ごほうび欲しいの。だから、俺に教えさせて?」
なんだか可愛いことを言う佐野先生に「ダメだ」と言うこともできずに、コクンとうなずいてしまった。
その時だった。
「ちょっと、待って!!」
なんと樋渡さんが乱入してきたんだ。
「ふたりだけなんてズルイ! 私にも勉強教えて!」
「お…おう」
樋渡さんの勢いに、佐野先生もあっさり負けてしまった。
「あと、ごほうびがどうとかって聞こえたけど、私にもごほうびくれますよね? 佐野先生」
いや、もらうんじゃなくて、本当はあげなきゃいけないんだけどね。