言われた通りに座ると、先生の広い肩がすぐそばにあって、ドキッとした。
手伝ってくれるのはうれしい。
だけど、先生とふたりきりでっていうのも気まずいな。
居心地の悪さを感じながらも、ふたりしてホッチキス片手にプリントをとじ始めた。
ふたりともしゃべらずに、10分は経った。
何か話題がないかなと考えてると、佐野先生が言いにくそうに切り出した。
「高村さ、その…痴漢とかよくあうのか?」
「え…あ、はい」
よりによって、そんな話題!?
一瞬、言葉につまり、小さな声で答える。
「多い方な気はしますけど」
「多いってまさか入学してからもう何度も?」
佐野先生の顔色が変わった。
知らない男に体を触られたと思い出すだけで気持ち悪いから、話したくない。