その言葉を聞いて、あたしはホッとした。
「安藤先生も他の先生には内密にお願いしますね?」
「オレの場合、佐野先生のことをとやかく言える立場じゃないですから」
ドキッとした。
「…そうですね」
佐野先生は安藤先生の言葉の意味がわかった?
「よし、高村。もうすぐフォークダンス始まるが、踊れそうか?」
佐野先生の言葉にうなずいた。
「新しいシップはって、包帯で固定してもらったから、たぶん大丈夫」
「そうか。帰りは他の先生に車借りて送って帰るから、昇降口で待っててくれ」
「え、いいよ! ひとりで帰れる」
大きく首を振って断るあたしに、佐野先生は瞳を丸くして驚いているようだった。
普通はね、送ってってくれるって言うのに断ったりしないのかもしれない。
でもね、あたしは負けたから。