考え込んでいると、急に話しかけられて、あたしはびっくりした。


あわてて視線を上げると、あたしをのぞき込むように佐野先生が立っていた。



「なんか顔色悪くないか? 大丈夫か?」


「だ、大丈夫です! もうすぐリレーだから緊張しちゃってるだけですから」



「ああ、確かにリレーで優勝できるか決まりそうで、責任重大だな」


佐野先生が各クラスの得点表を見ながら言った。



あたしのクラスの得点は208点、3年1組も208点で同点だった。


それよりいい点数のクラスはなく、次席が155点のようだった。



「でもまぁ、一生懸命走れば勝っても負けても皆嫌な顔しないよ。とにかく精一杯走れ」


佐野先生があたしの頭をポンポンたたきながら、励ましてくれた。



そうだよね。


大事なのは、勝ち負けじゃない。


一生懸命走ること。


頑張ること。