翌日の放課後、体育教官室の前にいた。
行かないと宣言したくせに、結局来てしまった。
だって、走り込みはしておかないと、とてもリレーのアンカーなんて無理だもん。
あたしに代わったとたん、最下位になっちゃう。
かと言って、運動嫌いなあたしがひとりで走っても続かないから、
佐野先生が一緒に走ってくれれば都合がいい。
自分に言い聞かせながら、教官室のドアを開けた。
「失礼しま――」
その先には、樋渡さんに抱きつかれている佐野先生がいた。
「何、やってるんですか」
自分でも驚くほど低い声が出た。
「高村、これはその、違うからな!」
そんなあたしのとまどいにも気づかないくらい、
佐野先生はあせった声で、樋渡さんを引きはがした。
「ねぇ、高村さんはいいよね?」