体育は男女別に行われるから、今ここにいるのは先生以外全員女子なんだから仕方ない。
皆はじっと先生を見つめて、次の指示を待っている。
先生がちょっと苦手なあたしは、その光景をやけに冷静に見ることができて、ちょっと笑える。
「まずは背の順決めるからなー。その後は更衣室教えて、もろもろの説明して今日は終わりの予定だから。
じゃ、まず適当に背の順になるよう並んで」
こうして、初めての体育の授業は先生の宣言通り、体育らしいことは何ひとつせずに終わった。
「それじゃ、今日はここまで。次は着替えた状態でここに集合しろ」
佐野先生がまだ入学の日に居眠りしたことを引きずってたらどうしよって思っていたあたしは、拍子抜けだった。
先生って根に持つタイプかと思ったんだけど。
と、その時、佐野先生はニヤッと嫌な笑みを浮かべた。
「あ、高村は今日居残りな。放課後、体育教官室。俺の自己紹介で眠ってた罰だ」