「高村、顔真っ赤。わかりやすすぎ」
「だからっ、そんなんじゃないってば」
佐野先生を好きだなんて、そんなことあるわけがない。
教師を好きになっても幸せになれないって、あたしが一番よくわかってる。
だから、先生だけは好きにならない。
そう決めているのに――。
「はぁ~。高村って強情だな。顔、さっきよりも赤くなってる」
委員長があたしのほおをひとさし指でツンツン突きながら言うものだから、
顔はよりいっそう赤くなった気がする。
「委員長、高村、授業中だ。しゃべってないで、皆のようにポーズをとれ」
佐野先生の声でハッとして周りを見てみると、
皆が踊り出す前のポーズを取りながら、あたし達を見てクスクス笑っていた。
でも、あたしは気づいてしまった。
佐野先生と鷹井くんは笑っていなかったんだ。