「佐野先生か~。確かにカッコイイね~。あたしはちょっと苦手だけど」
「あら? 千沙が苦手なんて珍しいわね」
あたしは皆と仲良くなりたいってタイプなの。
だから、よっぽどのことがない限り、苦手だなんて言ったりしない。
「いや、まだ佐野先生がどんな人か知らないけど。…でも、何かちょっと意地悪なんだもん」
あたしはほおをぷくっとふくらました。
話したのは痴漢騒動の時の1回きり。
最初はいい人って感じだったのに、職員室の辺りでは意地悪だったように感じる。
居眠りしたせいで先生のことを知らなかったって、そんなにムカつくことだったのかな?
考えて込んでいると、佐野先生が入ってきて、授業開始となった。
「はい、集合~!」
その声に反応して皆が先生の元に集まる。
入学したばかりだからだろうけど、
何よりも先生がカッコイイから、皆、素直に言うことをきくみたい。