「高村の相手がどんな奴でも、俺はあきらめて応援しようと思っていた。
でも、やっぱり無理だよ。相手が先生なんて応援できない。
あきらめきれない。先生となんて幸せになれるわけがない」
「…………ッ」
周りに聞こえないように、ささやかれた言葉があまりに衝撃的で、何も言い返せなかった。
「見たんだよ、俺。今日、保健室で」
言われた瞬間、頭の中を佐野先生との甘いキスがかけ巡った。
そう言えば、あの時、何かカタンと小さな音を聞いた。
どこか遠くで鳴ったのかと思っていたけど、
もしかして鷹井くんがドアを開けかけた音だったの…?
開けかけて、あたし達に気づいてやめた?
別にあたしにやましいことがあるわけじゃない。
キスをしたと言っても、付き合っているわけでなければ、あたしからしたわけでもない。
ばれて圧倒的に不利なのは佐野先生ひとりだ。