ふたりを見ていたくなくて、一刻も早く立ち去りたかったんだ。



佐野先生の言葉も無視して、あたしは廊下を走り続けた。




かなり走って、もう佐野先生が近くにいないだろうというところで、ようやく止まった。



スカートのポケットに入れてる携帯を取り出して時間を確かめると、

かなり走ったとはいえ5分しか経っていない。



「ははっ…、あと25分もひとりでどうするのよ」


壁にもたれながら、ズルズルとその場に座り込んだ。



なんだか、自分が情けない。



「何やってるんだろ、あたし」


「本当にな」


返事が返って来るとは思わなかったのに、

上から返事が投げかけられて、あたしは驚きで顔を上げた。



そこには、息の乱れた佐野先生がひとり立っていた。



「…何で? さっき…の人は?」


喉がカラカラでうまく言葉が出てこない。