カクテルに気を取られていたあたしは、いきなり間近にせまった佐野先生の顔にドキッとした。
「シ、シンデレラ?」
「あぁ、そっか。高村さんはシンデレラ役をするから、そのカクテルをプレゼントなんだね」
安藤先生がふわりと笑いながら言った。
「そういうこと」
「へへ、ありがとう。佐野先生」
「よかったね、千沙ちゃん」
うん。うれしくてニヤけちゃう。
それにしても、シンデレラって一体どんな味するんだろう。
あたしはグラスを持ち上げ、隅々まで眺めた。
「千沙、気になるなら早く飲んでみたら?」
そんなあたしにれみちゃんは苦笑い。
「あっ、そっか」
そっとグラスに口づけた。
「おいし~い!」
なんだかちょっとトロピカルな味。