「…先生ッ…!!」
勢いよく先生を押しのけ、胸もとに目をやると、さっきまで薄ピンクだった痕が赤に変化していた。
「忘れるなよ。おまえは俺のモノだ」
「…先生のバカっ…!!」
真剣な佐野先生の声に、あたしはもうどうしたらいいかわからず、
前と同じ捨て台詞で、教室を飛び出した。
「…あたしはモノなんかじゃないんだから」
廊下を走りながら、つぶやく。
そんな時、誰かとすれ違ったと思った。
ここは学校だ。
人とすれ違うのは不思議じゃない。
それに、あたしは考え事で視野がせばまっていた。
だから、それが誰かはわからず、気にも留めずにいたけど、
その人に突然「高村さん」と呼ばれながら腕を強く引っ張られて、あたしはよろめいた。
「きゃっ」