「期末、ひとつも70点以上取れなかったんだって?」
ふたりきりの教官室で、佐野先生がニヤッと意地悪な笑みを浮かべながら、たずねてきた。
あたしは、小さな体をさらに小さくする。
「…違う。国語は80点だから」
数学45点、世界史53点、英語60点、化学49点。
そんな数字が並ぶ中、国語だけはよかった。
国語は昔よく安藤先生に教えてもらったから、わりと得意なんだ。
「…へえ、国語だけねぇ」
佐野先生の低い声があたしに突き刺さるように聞こえた。
「とにかく賭けは俺の勝ちってことで、約束の罰な」
佐野先生がニヤリと笑い、あたしはゴクッと喉を鳴らした。
一体、何を言われるんだろうか。
「文化祭は俺と見回ること」
「は…はい!?」