正直、あんまり大丈夫じゃない。


尻餅ついてお尻が痛いよ…。



「大丈夫? 高村」



佐野先生より高めの男の声が前から聞こえて、顔を上げると、鷹井くんがそばにいた。


ぶつかった相手って鷹井くん?



「ごっ、ごめんね、あたし急いでるから」


「えっ!?」


「あっ、おい、高村!?」



あたしはあわてて立ち上がると、

鷹井くんの驚く声も佐野先生の呼び止める声も全部無視して走りだした。




夏の告白から、鷹井くんの顔が見れない。


話もしていない。


避けてばかりだ。



どんな顔して会えば、話せばいいのか、わからないんだ。





しばらく走って教官室にたどり着き、あたしはドアの前でズルズルと座り込んだ。