「先生、何でこんなトコに!?」



「ちょっと職員室で用があってな。

今、教官室に戻るところだよ。それより、何かあったのか?」



「…何かというか」



ため息の理由はキスシーンのことだった。


だけど、佐野先生には言いづらい。



追い討ちをかけるように、佐野先生は「ん?」と微笑んでくる。



でも、言えないよ!


キスシーンのことはいつかバレるんだろうけど、とにかく今は無理だ。



「な…何でもない。早く行こう!」



この話題を振り切ろうと、速足で角を曲がろうとしたけど、

同じく角を曲がってきた人にぶつかってしまった。



「きゃっ」

「うわっ」


「おい、大丈夫か!?」


あわててかけ寄ってくる佐野先生の声が聞こえた。