「ちょっと、委員長!」


ガタッとイスを鳴らして、立ち上がった。



「どういうこと!? あたし主役なんて嫌…」


「やりたくないとかは受け付けませんから。決定です。

うらむのなら、僕じゃなくて高村さんに投票した皆にお願いしますね」



言い返すこともできなくて、シュンとうなだれて、座り直した。


委員長の零下百度の微笑みと有無を言わさない怒りのオーラに負けてしまったんだ。



あたしがおとなしくなると、委員長は何やら冊子を配り出した。



「これは夏休み中に作った台本です。

役がある人は明日から練習するので、きちんとセリフを覚えてきてくださいね」



何となしにパラパラと台本をめくった。



その手が、とあるページで止まる。




…………キ・ス?



『シンデレラと王子様はキスをして愛を誓いあいました』