あたしは突然のことで、何が何だかわからない。
「ねぇ、離してよ…!?」
恥ずかしくて、なんとか鷹井くんの腕から抜け出そうと試みた。
だけど、その力は強くて抜け出せない。
「嫌だ。離したら佐野先生の所に行っちゃいそうで怖いんだ」
鷹井くんはそう言って、よりいっそう腕の力を強めた。
「…鷹井くん?」
「俺、高村が好きなんだ」
その声が耳に届いた瞬間、頭が真っ白になった。
鷹井くんが、あたしを…?
そんなこと、考えたことなかった。
「高村は俺のことどう思ってるの…?」
耳もとで切ない声がして、あたしの心臓は大きく跳ねた。
「あ、あたしは…」
キスされたんだもん。