「ねぇ、何で佐野先生と一緒にいるの?」


鷹井くんが沈黙を破るように、重く低い声を出した。


あたしはいつもと違う声にとまどいを覚えた。



「俺は他の先生方と見回りに来てるんだ。浮かれてハメを外す生徒がいるかもしれないからな」


「それで偶然会って、あたしが迷子で困っていたから側にいてもらったの」



先生の助けに感謝しながら、鷹井くんに話した。



まともに目を合わせるのが怖くて、うつむきながら、視線だけ鷹井くんに向ける。



鷹井くんは先生をにらむように凝視していて、あたしは少し首をかしげる。


「あの、鷹井くん?」


どうしたの、と続ける前に鷹井くんの言葉がさえぎった。



「高村を助けてくれてありがとうございました、佐野先生。もう俺が来たから大丈夫です」


ふたりの間に火花が飛び散っていそうな雰囲気だ。



花火が音をたてて次々上がっていくけど、もうそれどころじゃない。