あわてて佐野先生を押し返して、声のした方を見る。


そこにいたのは鷹井くんだった。



「た…鷹井くん!? どうしたの?」


あたしはまだ離れた位置に立っている鷹井くんに大きな声でたずねた。



鷹井くんが小走りでこちらに向かってくるので、

あたしは立ち上がって階段の一番上で彼を待った。



「ハァ、よかった。急にいなくなるから探してたんだよ」


鷹井くんは側に来るなりあたしの両肩に手をついて、あらい息でそう言った。



心配してくれていたんだ…。



「ごめんなさい」


申し訳なくて、うつむき加減になる。



そんなあたしとは対象的に鷹井くんはこっちをじっと見てる気がした。


視線を強く感じるのだ。


それは前からだけではなく、後ろからも。


痛いくらいに。