150センチもないあたしが180センチ以上はありそうなこの人と目を合わせ続けるのは、かなりキツイ。
「プハッ。この状況でそんなこと言う?おまえ、面白いな」
あたしを解放したと思ったら、いきなり声をたてて笑い出した。
「あなたは背が高いから小さい人のことなんてわからないんです」
あたしは不機嫌になって、ほおをぷくっとふくらまし、顔を横にそむけた。
「ごめん、ごめん」
その声を聞いて、横目でその人の様子をうかがってみると、その人は極上の笑みを浮かべて言った。
「ところで、いい加減、学校へ行こうか、高村千沙さん」
ハイ?
何であたしの名前を知ってるんでしょうか――?