「たっ…鷹井くん…!?」
自分の声が変に裏返ってるのがわかる。
鷹井くんは顔を上げ、あたしに微笑んだ。
「よかった。足は怪我してないみたいだね。次からはあわてなくていいから、ゆっくり歩きなよ」
「う…うん。ありがとう」
「千沙ちゃんの足大丈夫だったみたいだし、会場に行こうか」
慶太くんの声を合図にあたしたちは歩き出した。
「可愛いね、その浴衣」
「あ…うん、ありがとう…」
横を歩いていた鷹井くんにピンク地に黄色の花模様の浴衣をほめられたけど、喜べなかった。
だってこの浴衣は――。
「千沙、大丈夫? まさかそれ着てくるとは思わなかった」
後ろかられみちゃんが皆に聞こえないように、小さな声で話しかけてきた。
昔、この浴衣を買う時についてきてもらったれみちゃんは、すべてを知っている。