手を振りほどこうとしても、先生の力が強くて無理なんだ。
そうこうするうちも、佐野先生の唇が離れることはなく、
その荒々しい口づけに、どうにかなりそうで怖い。
「…ん…」
頭が働かない。
嫌。
嫌なのに。
もう、ダメかもしれない。
そう思ったとき、あたしは急に解放された。
一気に入ってきた空気にむせながら、ガクンと腰を落とす。
佐野先生はしゃがみ込み、まだ息が荒いあたしのあごをつかんで、
うつむいてたあたしの顔を上げた。
「わかったか…? 男が本気だせば、高村にはどうしようもないんだ。
だから、俺が守ってやる」
真剣な瞳に見つめられ、何も言えなかった。
ただ、コクンとうなずくだけだった。